【売買契約を解除する方法】手付解除とは?



皆様「手付解除」をご存じですか?

足利市内で不動産売買契約を行う際「解除はできるのかな」と不安になる方も多いかもしれません。

結論から先にいうと、不動産売買契約は解除できます。

しかし、いわゆる契約解除は約束を破ることにつながるため、不動産業者によっては違約金などのペナルティが発生します。

それだけではなく、そもそもの契約解除の条件が厳しいところも多いです。

その一方、自己都合による契約解除なのか不動産業者都合による契約解除なのかでも変わります。

 

今回はそれら不動産の売買契約が解除できるのかどうかについて解説します。

また、契約解除の条件はもちろん違約金などのペナルティがどうなるのかについても説明するので、これから足利市内にて不動産売買契約するという方にお読みいただけると幸いです。

 

 

 

| 手付金について 


買主の人は少々、困惑すると思いますが、手付金は今のところ現金払いが主流です。
現金払いとは、封筒に現金を詰めて、その場で手渡しすることを指します。

正直言うと、現金払いはかなり嫌がる方が多いです。
2,000万円の物件を購入した場合、10%だとすると手付金は200万円にもなってしまいます。
200万円を持参する機会というのは、人生でそう多くはないはずです。

手付金はATMで一度に引き落とせる金額を超えていることも多いですし、用意するとなると、何日間に分けて引き落として用意しなければなりません。
そのため、買主は購入が決まった時点で、手付金の現金を用意するようにしてください。

手付金は、契約を証拠立てるものですので、前払いも後払いもできません。
契約と同時に支払わなければいけないため、現金持参が原則となります。

手付金は、非常に高額ですので、事前に振り込むのは相当なリスクがあります。
理由としては、詐欺の売買契約だった場合、手付金が持ち逃げされる可能性があるからです。

手付金は、買主が売買契約の内容をしっかりと確認し、間違いがないことをその場で確認した上で支払うことが重要です。

また、手付金は要物契約と呼ばれており、実際に手付金がないと手付契約の効力が生じません。
つまり、後払いになると手付金ではなくなりますので、後日払いもNGです。

さらに、不動産会社が売主の場合、手付金を後払いにしてしまうと、強引に契約の締結を誘導したとみなされる信用供与となってしまうため、後払いはできないことになります。

よって、手付金は売買契約と同時に支払わなければならず、その一番確実な方法が現金持参であることから、未だに多くのケースで現金持参が採用されているのです。

ただし、ハウススタジオが思うに、手付金の現金持参の習慣も、恐らくここ5~6年の間に変わってくると思います。
近年は、携帯電話があれば振込も着金確認もできる銀行が増えてきました。

売買契約時に、買主がその場で携帯電話を使って振り込み、売主もその場で携帯電話を使って着金確認ができれば、持参ではなくても問題ありません。

尚、足利市内の建売住宅の多くが、手付金は契約前日までに振込にて支払うように変更になってきました。

当日振込を使う場合は、例えば売買契約には売主も買主もご主人が立会い、携帯電話で連絡して買主の奥様が振込を行って、売主の奥様が記帳して着金確認したらご主人に電話で連絡する方法です。

売買契約を平日の午前中の早い時間に設定し、売主も買主も、送金と着金の確認が取れる連携体制が取れれば、振り込みもできます。

どうしても現金持参が嫌な場合には、あらかじめ不動産会社に相談し、振込による対応ができないか確認するようにしてください。

|手付解除の内容 


契約にあたって、買主から売主に対して手付金が交付されると、その手付金は性格上解約手付と解釈されます。

手付金の額は当事者の合意により定めますが、一般には売買代金額の10%に設定することが多かと思います

しかし、手付金額については定めは無く、10万円でも設定可能です。

手付金額については以前、記事を書いておりますのでそちらをご参照下さいませ。

 

【自己資金は少なくてもOK!】住宅購入の頭金の悩みを解決! | ハウススタジオ株式会社 (house-studio.co.jp)

 

 

売買契約から引渡しまでの間に、売主や買主は自らの一方的な都合で契約を解除することが可能です。
これを「手付解除」と呼びます。

手付解除では、買主は手付金を放棄し、売主は手付金を倍返しすることで契約の解除が可能です。

売主だけ倍返しというのは一見すると不公平な気がしますが、売主は既に手付金を買主から受領しているため、預かっている手付金に加え、自らも手付金と同じ額を支払えば「倍返し」となります。
つまり、売主も買主も、手付金の額を支払えば、契約を解除できるということです。

民法では手付解除の扱いが以下のように明確になります。

(手付)


新民法第557条1項
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。


前段は、買主は放棄、売主は倍返しすれば解除できるという内容です。
後段は、手付解除ができるのは「履行の着手」までということを定めています。

「履行の着手」とは、「債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」を指します。

 

具体的には、以下のような内容が履行の着手に該当します。

(売主)

〇所有権移転登記手続き

〇分筆登記手続き(数区画の分譲の場合を除く)

(買主)

〇中間金の支払い

〇残代金の支払い

 

実際のところ、「履行の着手」は非常にあいまいであるため、裁判になることも多いです。
そこで、通常の売買契約では、手付解除ができる「解除期限」も定め、取引の安定を図っています。
単純に、解除期限を過ぎれば、手付解除はできないということです。

尚、解除期限を定めても、解除期限以前に明確な「履行の着手」があった場合には、民法の原則に則り、それ以降の解除はできないことになります。

 

 

 

|手付解除についての注意事項 


買主様の都合で手付解除をする場合には、手付放棄ですので、手付金は当然に戻ってきません。
一方で、売主様都合で手付解除がなされる場合には、倍返しですので、手付金は当然戻ってきますし、さらに売主からも手付金と同額がもらえます。

買主から手付解除をする場合には、配達証明付内容証明郵便にて手付解除をする旨の意思表示をすることが望ましいです。

売主から手付解除する場合には、解除の意思表示に加え、手付金の倍額を振り込むか、持参するか等の現実の提供が必要となります。

尚、手付解除では、売買契約時に既に払った仲介手数料についても返金されません。
手付解除は、買主や売主の一方的な都合であって、不動産会社には非がないからです。

金額からすると、手付解除はかなりの痛手となります。
逆に言えば、高額な手付金が解除の心理的なハードルの役割を果たしており、契約は簡単には解除できないようになっているのです。

 

 

| まとめ 


多くの場合、手付け金を放棄したり倍返しすることで売主・買主の双方で解除が可能ですが、相手方が契約の履行に着手した場合は解除できなくなります。

どうしても解除しなければならない場合は違約金が発生するケースがほとんどなので注意が必要です。

ただし、売主側に契約不適合責任が生じる場合や消費者契約法で問題となる不動産の場合は相手方の契約着手後も解約できる場合があります。

金融機関から融資を受けられないなど住宅ローン特約の条件を満たした場合にも解除できるケースがあるので、契約の際にはしっかりと売買契約書を確認して、問題が起こってもスムーズに対処できるようにしておきましょう。